鈴木●也似・草食系大学生(当時20)の話②

前回のつづき。

六本木のクラブで出会った、広島カープの鈴木●也から自信を削ぎ落とした雰囲気の大学生・亮くんに、私の心はだいぶ持っていかれていた。亮くんはビジュアルもキャラクターも、どストライクだった。お顔はスポーツやってる爽やか系でイケメン過ぎないおぼこい雰囲気を残しつつ、そしてお肌がきれい。身体も程好くたくましい。そして年齢はぴちぴちのハタチ。これでコミュ力がめちゃ高かったら爆モテなはずなのに、意外と女馴れしてないだろうなというちょっと不器用さが漂うところが堪らなかった。いわゆる草食系男子。あの日、彼にほろ酔いで吐露された「今まで彼女いたことないんです」が完全に決まり技だった。可愛すぎた。はぁ…亮くんにまた会いたい。とりあえず会いたい。まさか8歳も年下の、初彼女もまだのぴちぴち大学生と付き合いたいとか、そんな大それた望みは天に誓ってなかった。ただただまた会って話したい、ただ一緒に飲みたい、ただデートをしたい、彼に会ってときめきたい、彼と仲良くなりたい、出来れば私になついて欲しい、あわよくば一発ヤりたい、ヤって童貞かどうか確かめてみたい……てなくらいの、28のお姉さんが抱くいたって健全な願望だ。

しかしそこまでに至るには、些か高い壁があった。彼女いない歴=年齢の亮くんを軽々とリードできるほど、私は恋愛経験豊富なお姉さんではないのだ。学生までは何人か付き合った彼氏はいたけれど社会人になってから男日照りが続きセカンドバージン状態。男の人とデートをするのも4年振り。ましてや8歳も年下の男の子と二人きりで遊ぶなんて初めての経験だった。LINEでの会話も色っぽい雰囲気は出せず、亮くんと次に会えるまで2ヶ月もかかってしまった。約束は日曜の夜。飲みに行くことになった。場所はお互いの家の中間地点がいいかなと思って新宿にした。お店はどうしようかと聞くと「お任せします!」とのこと。そして「大人の遊び教えてください!」と、今までのやり取りで受け身だった亮くんが受け身の姿勢のままだいぶブッ込んだLINEをくれた。どうしよう。これは……どういう意味で捉えたらいいの?ハタチの男の子に何を期待されてる?一体私は、彼の期待に添えるパフォーマンスができるの!?

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当日。待ち合わせは18時、伊勢丹前にした。薄暗いクラブでしか顔を合わせてないし、駅の改札とかアルタ前は人が多すぎてお互い見つけにくいかと思って、敢えての伊勢丹前。緊張で20分も早く着いてしまったので、丸井のトイレで化粧直しをする。マスカラが落ちてないか下まぶたをチェック。パウダーでテカりを抑えて、リップを塗り直す。服はバチバチに女出しすぎてもキモいかなと思い、パンツスタイルに白のノースリブラウス。そこに羽織ったカーディガンは、いいかんじのところで脱いで二の腕を出そうという計算。私なりに精一杯"大人のお姉さん"感の演出を考えた。ボディフレグランスを振りかけて、よし…いざ!出陣だ!伊勢丹前に戻って「着いたよ」とLINEを送る。待つ。18時を過ぎた。待つ。既読にならない。18時から10分過ぎた。え…これ、約束すっぽかされる?おばさんがからかわれてるやつ?とよぎる不安。めちゃくちゃ心細くなってきたその時「すみません!今、駅から向かってます!」と亮くんからLINEが。良かった!大学生にすっぽかされたBBAにならずに済んだ!「大丈夫だよ、気を付けて来てね!」と返す。5分経過。10分経過。15分経過。あれ、来ないぞ。一向に来ない。さっきのはフェイク?やっぱりからかわれてる?とまた不安が襲ってきたその時。「すみません!新宿来たの2回目で…めちゃくちゃ迷ってました!」と謝りながら焦る亮くんが登場した。ズキューーーーーン!!!撃ち抜かれた。や、やべぇ。かわいい。「駅には時間通りに着いてたんすけど、新宿って出口たくさんありすぎて…マジで迷いました…」。な、なんだこのかわいさは…。許す、というか許せる。JR新宿駅から新宿伊勢丹まで到着するのに30分かかってしまうのが、それが若さというものだったのね!大人になってから仕事でもプライベートでも何度も新宿に来ている私は忘れてしまっていたわ、都会に出てくるのすら冒険だということを!!!ましてや亮くんは地方出身者…そんな彼の気も知らず、中間地点だからと勝手に新宿を指定し、良かれと思って駅から離れた伊勢丹に呼び寄せた私が悪いのよ!!!と、想定外だったハプニングとすっぽかされなかったことへの安堵感で年甲斐もなく跳びはねそうな自分を堪えながら、大人として、呑兵衛として、確実に外さない店のセレクトを披露する。「お店の候補3つ考えたんだけど…あ、私全部行ったことあるから味は確実だよ!オシャレな串カツ屋と、有機野菜を使ってる創作和食屋と、お魚とか日本酒がある気取ってない居酒屋だったらどこがいい?」。亮くんは「えーっと、気取ってない居酒屋がいいですね」と即答。だ・よ・ね!!デートで行くなら絶対に前者2つだけど、田舎出身の大学生が怯えながら新宿に来て、彼女できたこともないのに8つも歳上のお姉さんとデートなんてシチュエーションでオシャレなお店選ぶなんてさらに緊張してゲロ吐いちゃうもんね!気取ってない居酒屋を選択肢に入れておいた自分、グッジョブ!!!店に向かいながら私は内心だいぶコーフン状態だった。感動に近かったかもしれない。私が思っているよりずっと、亮くんは若いのだろう。世界が違う。このうぶな若さを目の前にして、改めて手を合わせて拝みたい気持ちだった。

店に着いた。日曜だけど割と空いていて、ここは大人っぽくカウンターに座ることにした。まずは生ビールで乾杯。肴もいくつか頼んだ。ここまでずっと私がリードしていた。それで良かった。こんなかわいい大学生にリードしてもらおうなんて、それは贅沢過ぎる。この間よりも亮くんはシャイだった。私もドキドキしていた。クラブで会った時はお互いほろ酔いだったのでシラフで改めて顔を合わせると気恥ずかしさもあったし、私たち二人がこれからどこへ向かいたいのか、自分たちでもわかっていない緊張感もあった。果たしてこの日、亮くんには私がどういう風に見えていただろうか。亮くんはどういうつもりだったんだろうか。

生ビールの次は瓶ビールを頼んで、その次は日本酒を頼んで、亮くんは全部私に着いてきてくれた。ハタチの割にはかなり酒が強いし、飲み方もわかってる子だった。肴のセンスも揚げ物ガッツリ系で突き進むような子ではなかった。食の趣味は大人びてるってとこがまたいい。お酒が進むにつれて、亮くんはよく喋るようになった。そして、彼の恋の話になった。彼は中学生の時に好きだった女の子をずっと引きずっているらしい。高校に入っても、その子に彼氏が出来ても忘れられなかったらしい。話を聞く限り、その女の子はだいぶ小悪魔っぽい。振り回されてる亮くん。成人式で再会して、彼は気持ちが再燃したらしい。嗚呼…これまで彼女ができなかった理由はこれか。なんかもう、これは本当に青春の恋だよね。キラキラしたやつ。一生懸命喋る亮くん。うんうん、お姉さんが聞いてあげるよ。それ以外にできることないもん。「あ、でも!彼女はいたことないですけど、その…そういうこと、経験ないわけではないですよ…」。はいはい、童貞じゃないのね。いやそんな急カーブでカミングアウトされたって、私はもう菩薩の心になっちゃいましたよ。こんな他の女の子への愛を語る君を前に、私はどんな大人の遊びを教えたらいいのよ。カーディガン脱いで、二の腕見せたらいい?「そんな子、私が忘れさせてあげる」って囁きながらボディタッチして、色っぽい空気にさせればいいの?恋愛偏差値の低い私には、正解がわからないのよ!!!そんなこんなで店員さんがラストオーダーを取りにやって来た。お会計は私が多めに払って、店を出た。二人の足はそのまま駅の方へ向かう。二軒目の候補にと考えていたバーもあったけど、終電までそう時間もないし、そこへ行く選択肢はなさそうだ。今日が土曜日だったら帰らない選択肢もあったのだろうか?そんな考えが少し頭をかすめてすぐ消えた。亮くんと駅の改札で別れた。すごく楽しくてときめいた時間だったけど、若い彼にそれ以上踏み込む勇気も技術もなかった。それでもやっぱり会いたくてしばらくしてもう一度私から飲みに誘ったけど、予定が合わず断られて、そこからさらに深追いしたらキモいおばさんだと思われそうで私から連絡はできなかった。だけど、この亮くんとのデートは言い様のない感動を覚えた、私にとって特別な思い出になった。大学1年の頃に一人で新宿の小さな映画館にレイトショーを観に行った時、何だか大人になったみたいですごくドキドキした、あの新鮮な冒険みたいな。何だか背伸びしたような、そんなステキな思い出だった。

それから亮くんに再会する日まで、2年。それまでもう少し違うお話をしましょう。

(※エピソードには一部フェイクを入れています)

鈴木●也似・草食系大学生(当時20)の話①

前々回、前回の記事のとおり、私は33歳にしてみたら恋愛が苦手な方だと思いです。もちろん幸せな恋愛はしたいし結婚(出産)願望だってある。なのに、いつもうまくいかない。そんな未熟さからくるのか、私のここ数年の恋愛対象は年下男子ばかりでした。今回から、私がこれまで出会ってきた年下男子との"恋愛ごっこ"とその末路を綴っていきたいと思います。

記念すべき一人目の年下男子は、私が28歳の時に出会った大学生・亮くん(当時20)。おっと、いきなり犯罪ぎりぎりですね。私の年下フェチはここから始まったと言っても過言ではない。彼のせいでこの性癖が開花してしまい、今や私のハートは2~3つ程度の年の差じゃコーフンできなくなってしまった。そんな大きなきっかけとなった年下男子。顔の雰囲気は、広島カープの大砲・鈴木●也選手から自信を削ぎ落としたかんじのあどけない塩顔。身長はそこまで高くはなくたぶん170cmくらい。でも亮くん自身も大学まで野球一筋だったせいか肩幅も胸板もしっかりしてて、ちゃんと男らしさがある。顔も中身もまだあどけないんだけど、身体からは色気が溢れる…そんなギャップが堪らない男の子だった。

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出会いは六本木のクラブ。私は27~29歳あたりの頃、独身アラサー女子の飲み友グループがちょうどみんな彼氏がいなかったのもあって、よく出会いの場に足を運んでた。その日も友だちS子とN子に誘われて合コンに行くのだが、男幹事の提案で何故か二軒目はクラブに行くことに。28歳にもなって私はその日がクラブ初体験だった。元々音楽やフェスに興味がないので初めてのクラブという場にどう身を任せればいいのかわからないし、合コンの男性陣にも惹かれる人はいなかったし、みんなが盛り上がってる輪にムリして入る元気も必要性もなかったので、私はS子とN子が踊ってるのを遠巻きに眺めながらはバーカウンターの横でひとり酒を飲んでいた。そこに「隣、いいですか?」と座ってきたのが亮くんだった。お、かわいい男子じゃないか。いいに決まってるだろ。「踊らないんですか?」「うーん、私はいいかな。君は?」「ちょっと疲れちゃって…連れがテンション上がりすぎて」と亮くんの指差す先にひときわアゲアゲな若者が、ちょうどS子たちと音楽にあわせて盛り上がっていた。確かに彼に着いてくのは大変そうだ。「じゃあここでちょっと喋ろうよ」と、私たちはポツポツ会話を始めた。

彼は大学生で東京郊外に一人暮らし、たまに六本木に遊びに来るらしい。まさか学生だとは思わなくてビックリしたけど、私もサバ読まず年齢を伝えた。「大学でなに勉強してるの?」とか「社会人て大変ですか?」とか当たり障りのない会話なんだけど、クラブの大音量の音楽と薄暗い照明のせいで自然と身体の距離は近くなる。お互いほどよく酔ってるし、肩も顔も、近いは近い。でもそこに男女の湿った空気は流れない。ここが、彼が「流せない」のか、私が「流させない」のか、お互い「流すつもりがない」のかでだいぶ変わってくるのだけど、この時はどれも混ざりあってたような気がする。何れにせよクラブで女漁りしてる男だったら相手のことなんてお構い無しに口説いてきたりボディタッチしてきたりするんだろうけど、そうはならない亮くんの控えめな距離感の取り方に、母性本能をくすぐられる。これがいわゆる草食系男子ってやつか。そのうち亮くんは「僕、彼女できたことないんですよね」と吐露してきた。あ、やっぱり。やっぱり君はそうだよね。ギュンときた。"キュン"なんて甘酸っぱいやつじゃない、ちゃんと性欲をともなった"ギュン"だ。ダメだ、この子……くっそかわいいぞ!!!

亮くんに完全に心を鷲掴みにされた私だったが、時間はすでに終電間際だった。N子が「そろそろ帰るよー!ロッカーの鍵、貸して!」と迎えに来ると、亮くんはスッと席を外した。N子に急かされながら、彼の姿を見失ってしまった。やばい。私よ、久しぶりに感じたこのトキメキをここに置いてこのまま帰っていいのか?いや、絶対後悔する。次に繋げなければ!連絡先を聞かねば!時間に焦りながらも早足でクラブ内をまわり、トイレから出てくる亮くんを見つけた。「あの…私もう帰るんだけどさ、LINE交換してくれない?」と駆け寄る私。急いでたし酔ってたし、気恥ずかしさとかそんなのなかった。「いいですよ」とスマホを取り出してQRコードを読み取った亮くんが、どんな表情をしてたかも覚えていない。帰り道、亮くんがかわいかった堪らなかったと語る私に、S子とN子は「あんたが男の子にそんなに好感持ってるの珍しいね」と驚いていた。次の日、東京ドームに嵐のワクワク学校を観に行ったのだけど、油断をするとすぐに脳裏に亮くんがあらわれてきて、まったく集中できなかった。

次に亮くんと会うことになるのは、それから2ヶ月後。どうなることやら。つづく。

(※エピソードには一部フェイクを入れています)

年下男子に弱い

20代後半以降、めっぽう年下男子に弱くなった。"男子"という代名詞を成人男性に使うのは適切ではないかもしれないのだけど、それでも私の心をくすぐってきた彼らは、まだ大人にはなりきれていない"男子"ばかりだったのである意味間違ってはいないと思う。幸せで満たされる恋愛の経験がない未熟な私にとっては、まだ少年性の残る男性と、未成熟な恋愛ごっこをしている方が摂理に合っていて自然な流れだったのかもしれない。と、最近気付いた。
次回以降、そんな"年下男子との恋愛ごっこ"を振り返っていきます。

あと一度だけでいいから心底惚れる男と出会いたい

それで、そのあと誰でもいいから結婚して子ども産みたい。

はじめまして、きほです。
女、33歳、独身。もうかれこれ10年ちょっと、男の人と真剣にお付き合いするような恋愛からご無沙汰しているこじらせ女です。
友だちの紹介に始まり、合コン、街コン、お見合いパーティーマッチングアプリ、バー・クラブ・オクトーバーフェストでナンパ待ち、見知らぬ人が主催するBBQやフットサルに参加、過去の友人・知人から原石発掘など…現代社会に存在するあらゆる出会いの場に割と出向いてきた方だと思うのですが、2020年6月1日現在まで繋がっているご縁はゼロ。まぁそれもそのはず。納得いくほど、私の顔面はちゃんとした"中の下"。もっぱら女から褒められるのは肌の白さ、男から褒められるのは乳の大きさだもんで、言い寄ってくるのは遊び目的の男ばかり。そのうえ気の強さと酒乱癖のオプション付きで、もうただでさえモテないんだからたまにのチャンスに這ってすがり付いくことくらいしてみりゃいいのに、そういうとこで長女の分別の良さとプライドの高さを出しちゃう可愛いげのない女なんですよ。そんなこんなで気付けば三十路もだいぶ過ぎ、出産リミットが降る旗がぼんやり見えてきた今日この頃、最後の砦だった独身友だちたちが次々にゴールインを決めていく第三次結婚ラッシュ真っ只中に入ってしまいました。
私だって人並みに結婚して、子どもも産んで、両親を安心させたい。そんな焦りが強くなり、じゃあ結婚相談所にでも登録して誰でもいいから結婚相手探そうよ…って言いたいんだけど、どうしてかその"本意気の婚活"にどうしても踏み込めない。頭では婚活した方がいいと思っているのに、あの条件先行型のシステマチックな世界に、どこか拒絶反応が沸き上がってきてしまう。ずっとそうだった。この拒絶はなんなんだろう、なんで私はやってもないのに拒絶するんだろう。ずっと自分自身でもわからなかったのですが、最近その葛藤の正体に気付いたのです!私は「純粋に恋したいだけ」なんだな、と。
そんなにたくさん恋愛してきたわけじゃないので、恋に未練タラタラなんです。若いときに感じた、恋してるときの"無敵感"てあるじゃないですか。好きな人がいるだけで何もかも楽しくてやる気に満ち溢れるあの感じ。あれ、もう一度味わいたいんですよ。もう10年出会ってないんですよ。片想いでも、セフレでも、DV男でもギャンブラーでも詐欺師でもいいから、相手が私のことをどう思ってるかは二の次で、私が心の底から「嗚呼!この人が好きだ!」と叫びながら夕日に向かって自転車かっ飛ばすくらい、好きになれる男の人に出会いたい。そうしてやっと、婚活に向き合える気がする。その好きな人と結婚できたらそれ以上幸せなことないけど、鼻からそんな高望みはしない。そもそも10年も恋愛してないヤツがいろんなことすっ飛ばして結婚・出産なんてレベル高すぎる目標に掲げることに違和感を感じてたんだ。
急がば回れ。私は結婚への最短距離は取らないことにした。